雫は強い。 心が、強い。 どんなに深い傷を負っていても、誰よりも真っ直ぐに生きようとしている。 そんな雫をすごいと思う反面、胸が締め付けられた。 その強さは、真っ直ぐさは、一体どんな傷を隠しているのだろうか。 傷の深さがわからないから、余計に不安になる。 「博?」 雫に名前を呼ばれて、ハッと我に返る。 「どうかした?」 「なんでもないよ」 何も知らないからこそ 雫が今にもどこかへ儚く消えてしまいそうで、……怖い。