「こ、これから…よろしくお願いします」 姿勢を良くした雫ちゃんは、そう言って深々をお辞儀をした。 今まで弱々しく見えていた雫ちゃんの印象が、ガラリと変わった。 真っ直ぐな強さを持っている獣のように見えた。 錯覚? いや、違う。 確かにそう見えた。 ざわついた胸の奥深く。 雫ちゃんが見せた“本性”に、戸惑う。 雫ちゃんは、一体――…。 「兄貴」 「ん?」 「踏み込む覚悟は、俺にはまだねぇからな」