「その子にね、相談してたんだ。理貴くんが好きだって」 「でも、理貴くんの名前は出してなかったから…。お互い、好きな人の名前は出さないで恋バナしてたの」 「まさか、同じ人を好きになってたなんてね。その子が頑張るって言って告白して、付き合っちゃった」 弱々しく、伊藤の声が溶けてゆく。 「泣きたい時は、泣けばいいんじゃないかな」 俺が言えたのは、そんな言葉だった。