【短】気付いたら君を見てた






「いや、お前が行けよ。普通に考えてそうだろ」




なんで俺がわざわざコイツの財布を取りに音楽室まで行くんだよ。


おかしいだろ、どう考えても。






「いやー。俺これからバイトなんだよね。取りに行ってたら間に合わねぇわ」




……。



コイツには、心底呆れてしまった。







「つーわけでよろしくっ!あ、中身盗むんじゃねーぞ?」



そう言い残して、春馬はさっさと帰ってしまった。





「…誰が盗むかよ」


深く大きくため息をついて、俺は渋々音楽室に向かった。