それから、ナオが品川駅に着いたっていう
メールをもらうまで、
打ち合わせの間中、気が気じゃなかった。
―そっちに行こうか
「それは、止めて」
1度ロビーで待ち合わせしてから、女の子の間でナオの事が知れ渡っている。
ぎりぎりで打ち合わせが終わって、
帰り支度を始めた。
ナオには、駅のコーヒーショップで
待っててもらうように言った。
フロアを出ようとしたら、
由貴ちゃんに呼び止められた。
もう、こんなときに…
「恩田先輩は、どっちとデートですか?」
「前野係長じゃないから、心配しなさんな」
「じゃあ、ナオさんですか?」
「うん、まあ…そうだけど」
「ちょっと待っててくださいよ。
大至急支度します!!」
「何で由貴ちゃんが?」
「だって、生のナオさん見るチャンス、
こんなの、めったに無いですよ」
「ああ、そっか」う~ん。
そう言えば約束してたっけ。
「思い出しました?」
「わかった」
「借りはちゃんと返してくださいね」
私は、ナオに、
森山さんと行くとメールで伝えた。


