カウンターで一人で飲みはじめて、
気づいたら、横に、知らない女がいた。


酒をおごれと言うからその通りにすると、
腕に絡み付いてきた。


キレイな女だと思った。
春妃よりキレイな女なんて、
いくらでもいる。


「どうして、あなたみたいな人が、
こんなところで一人で飲んでるの?」


「さあ、一人になりたいからじゃない?」


「でも、一人は詰まらないでしょ?
誰か相手がいた方が…」


「そうだね。
君がその気にさわる、甘ったるい声をやめて、
俺の腕に胸を押し付けるのを止めたらね」


「まあ…ひどい人」

俺はため息をついた。
「本当に」


「ねえ、いい店知ってるのよ?行かない」


「悪いけど、少し黙ってくれる?」