不動産の資料の件は、
由貴ちゃんを間に入れることで、
ナオも納得してくれた。

二人で会わなきゃいけないときは、
由貴ちゃんに行ってもらう。

「俺としては、
総務課に任せとけってとこだけど…」

それが出来れば苦労しない。


ナオは、私が心配していた彼に、
近づいてくる女性のことで、
私を悩ますこともなかったし、

他の女性を優先させたりして、
不快な思いをさせないように、
注意を払ってくれた。


私は、ナオに大切にされて幸せだ。


「そうだ。不動産なら適任者がいるじゃない」


私は、すぐに電話をかけ、朱音を呼び出した。


―春ちゃん?

「久し振りだね」


―どうしたの?

「ちょっと、不動産のことで…
物件を紹介して欲しいの」


―いいわ。うちの営業から連絡させる