内装は、
その頃とガラッと変っているのだろう。

印象がまったく違うから。

今は、大人っぽくモダンで落ち着いている。


部屋の雰囲気に合った、
シンプルな家具が置いてある。


朱音は付き合ってる相手によって、
部屋の様子が変わると噂されるけど。


本人にそれを聞いても、
そうかもねと話を逸らされるばかりだ。


でも、朱音のセンスはすばらしい。


毎回プロに頼んでるのか聞いてみたら、
自分でやっていると朱音は答える。


「すごいなあ。
やっぱり朱音は何でも出来るな」


「そんなこと無いよ。これだって、
雑誌に載ったのそのままだし」


そして、
朱音は、気に入らなくなると、
部屋ごと中身を入れ替える。


そのつど私に要らなくなった家具を
持っていかない?と聞くのだが、


私の部屋は、小さなワンルームでは、
部屋に入りきれないから、
という理由で断ったら、
彼女は、変な顔をして言った。

「春ちゃんは、
他のことでは節約するのに、
家具はどうして断るの?」

「私だって、欲しいよ。
朱音が使ってたものだもの。
でも、この部屋の家具って、
やたらでかいのよ。
私の部屋には置けないし」


朱音は、実際に私のアパートに来るまで、
入りきらないというのは、
断る口実だと思っていたらしい。


朱音は、まじめな顔で言った。
「それで、春は、ここに住んでるんだ」

「はい…」
朱音が、驚くのも無理はない。

私は、朱音が物置に使ってる部屋と、
そう変わらない、
広さで生活してるのだから。