胡散臭い…最初に感じたのは、それだ。


春の叔母という人物から
電話をもらってから、
何となく胡散臭さを感じていた。


このことについては、
祖父が面白がって、自分から動くから、
お前は、言うとおりに動けばいいと
言われて来た。


しかし、いつも頭の回転のいい春が、
身内のこととなるとまったくの
思考停止になって、
相手の言いなりになってしまうのには驚いた。



ここに来るまで、
祖父が春について行けって言うのは、
大げさだと思ってたから。


けど、今の春には、
誰かがついていないと、判断を誤るだろう。

放っておくと、
訳のわからない借金を背負いかねない。


ぐったりしてる、春を連れて
ホテルでチェックインを済ませ、
春に食事を勧める。


「高城君、私の部屋まで取ってくれたの?」


「あの従兄弟と一緒に居たければ、
俺は止めないけど」


「でも、ホテルなんて贅沢で…」



「春?言ってる意味わかってる?
あいつと、どうにかなりたいなら、
俺は、チェックアウトして
すぐにでも東京に帰るよ」


「ごめんなさい。こんなにしてもらって、
私には、なにも返すことが出来ない」


「そんなことないさ、
これまでも春に助けてもらったし、
これからもそうだよ」


「うん」


「ちゃんと付いててやるから、元気出せ」


「うん」

春は、泣いていた。

普段、どんな理不尽な目にあっても、
泣いたところなんか、見たことなかったのに。


まあ、こういうトラブルなら、
じいちゃんの言うとおりにしておけば、
間違いないだろう。