「ナオ、違うよ。
あの時、ナオは、私の事なんか
好きじゃなかったのよ。
いいのよ。わかってる。
田舎から出てきたばかりの子を
そんなふうに見られない、
そう思ったでしょ?」


「嫌いだから、断ったんじゃないよ」
春妃に寄り添って、背中を撫でてやる。


「友達をなくしたくなかった?」



「それは、少しあるな」



「そうじゃないでしょ?
家族を見て引いたんでしょ。

アル中の父に非常識な母。
普通それだけで破談になるもの。

実際になったことあるし」


春は、笑って言う。

春妃の事を抱きしめる。
やっぱり、あの時、俺は、
ちゃんと受け止めなきゃいけなかった。


「違うよ。そんなことはどうでもよかった」


「お母様はそうじゃなかった。
家庭環境が違い過ぎるから、
身を引いてくれと言われたもの」


「それ、何の話?」


「私があなたの家に入るのは、
我慢出来ないって言う話…」



「お袋が何か言ったの?
もし、そうなら、そのことは、謝るよ。
でも、親の意見なんか、関係ないから。
俺、お袋の言うこと、聞くつもりないし」

「うん」

「他人の意見なんか、聞くなよ。
君か気にするるのは、
俺の言葉だけでいい…」

今日は、ゆっくり休むといい。