一時間経っても、春を見つけられない。

さすがに、焦ってくる。

春は、ただ、帰ったんじゃなくて、
俺には会いたくないんじゃないかと
思えてくる。

春、頼むから、説明させてくれ。
いったい、何を言ったんだ、彩夏のやつ。


電話!

呼び出し音がなる前に、
通話ボタンを押していた。

聞こえてきたのは、知らない声だった。

―高城君?いきなりごめんね。私、さっき彩夏と一緒にいたものです。

「ああ」

誰からの電話か、
見ないまま電話を取っていた。

―春さん見つかった?

「いいや」

―やっぱり、電話に出ないんだ。

「だったら、何?」

―ごめん、ちょっと心配になって電話したの。彩夏が彼女に酷いこと言ったから