「あの…」

本気で言ってるとは思えない。

口説き文句は適当なこと言うけど、
荷物を引き払えなんて、
誤解される事、冗談で言うはずがない。


本当に仲がいい、
状態の歴代の彼女にだって、ナオは
鍵すら渡してないはずだ。


一緒に住むだなんて…


どう、受け止めよう…


その前に、いい自立してるはずの女が、
学生時代のアパートと同じような
部屋に住んでる事に、同情されてる?


ナオは、私が貧乏で、
常にお金に困ってると思ってるのかな。


ナオはどう思うのかな?
そういうのは、同情したから?



おじゃまします…と、形だけ挨拶すると、
ナオは、私を後ろから腕を回して抱きしめた。


「こんなに狭いと、
君をつかまえる必要がないから、
俺は好きだな…」


というなり、首筋にキスを始める。


「ナオ、ちょっと待って、
もう少し後にしない?」


「じゃ、君の方が俺から離れろよ」
意地悪が言えて嬉しそうだ。


「どこに行けばいいの?」


「ここじゃ、どこにも、行かれないな。
だから、大人しく抱かれとけ」