「どうだ?うちの孫は」


「行儀がよくて、親切にしてくれます」


老人は、ため息をついて、
しばらく考えこんだ。
そして、
イタズラを思い付いたみたいに笑った。



「見てくれは良いけど、
親切にしてくれる、それだけの人?」

老人は、がははははっと笑うと、
真顔になった。



「春妃さん、その通りなんだよ」



「どうだ?あれを、
もらってやってはくれないかな?
君みたいな娘がずっと近くにいてくれると安心なんだけど」



「もらう?
おっしゃっる意味が分かりません」


「やはりなあ。君なら、
もっとしっかりした相手を選びそうだ。
だが、うちの孫は、いい男だぞ」



「あの…お言葉ですが、高城君、
自分の相手ぐらい自分で見つけて来ますよ」



「それが問題だ。見つけて来ても、身の丈にあった、箸にも棒にも、
引っ掛からんやつばかりだ」


「あの、もう少し長い目で、
見てあげてはいかがですか?」


老人は、また、大きな声で笑った。


「もう、十分すぎるほど見たんだけどね。
残念ながら、あの子は平凡な子だ。
君といると本当にそう思う。

どうだろう…今後、いっさい、
お金の心配は、させないから、
あの子を支えてやてってくれないか?」

「支えるって言うなら…支えますけど…」


「そうか、よかった 」