「おめでとう。一応、これ。シャンパン」

朱音が、きれいな指でコルクの栓を抜く。


「そ、それ、ドンペリじゃないの?」


「酒屋で買ってるから、大したことないし。
私も飲みたかったから」


朱音の家には、なんでも揃ってる。


ワインのグラスで代用って事しないし
シャンパングラスだって、
多分、ヨーロッパのブランドの高級なやつだ。


私は、久しぶりに飲んだ
シャンパンの香りを楽しむ。


「付き合ったからって、
何も変わることないと思うけど」


「ナオとそうなるのは、違うんじゃない?」


「どうかな。わからないや。
確かにナオとは、
変らずにいられるなんて不可能だけど」


後戻りも出来ないし、ダメになっっても、留まってもいられないか。