眠くなって、何度もまどろんでは、
ナオに起こされたから、
本当に眠ったのは、ほんの数十分だろう。

ナオは私の体を下敷きにして、
心地よく眠っている。

「ナオ、起きて」

ナオの体をどけて、
ベッドから出ようとすると、
腕を引っ張られてまた、
ナオの下に引き戻される。

「一人だけ抜け出そうなんて、ズルい」
わざと深いキスをして、引き留めようとする。

「…ナオ、でも…仕事でしょ?」

「君は、俺にくれるご褒美はないの?」

私は、ナオの頬に軽くキスを返して、
離れようとした。


「そんな子供騙しで、満足すると思うか?」


ナオの腕が伸びて、私を抱きしめた。


「信じられない、本当に遅刻しちゃうよ」


「俺は、まだいい。春は?仕事行くのか?
名古屋に行くつもりだったろ?」


「うん」


「じゃあ、まだ大丈夫じゃないか」



結局シャワーを浴びる羽目になり、
ナオが食事を取る時間はなくなっちゃう。


「ナオ、まだ、ベッドにいて大丈夫なの?」

「俺、今日は午後から」

「早く言ってよ!もう」

横を向いたナオの頬にキスして、
耳たぶを軽くかむ。


今度は、ナオが私をつかまえて、
同じように耳たぶを軽くかんで、報復する。


「こういうのがしたかった。
名古屋になんかいけなくなるほど、
君を疲れさす時間はあるよ」

抱きしめてから、耳元でいうのは、止めて。