「わかった」


ただ、一言だったけど、
ナオは受け入れてくれた。


よかった。


ずっと、友達でいたいって
ナオに言ったけど、
ちゃんと受け入れてくれた。



その後も、
食事をしたいって誘ったら、ナオは、
普通に応じてくれた。大丈夫。

私、ずっとナオの近くにいたい。



会社の近くでナオと待ち合わせして、
由貴ちゃんに教えてもらった
レストランに入った。


店は、私のリクエストで行く居酒屋ではなく、
カップル向けのカジュアルなお店だった。


私は、ナオを前にして、
前と何一つ変わらない、
学生時代からの習慣を確かめたくなった。



「今日は、私が奢るから。
好きなもの注文して」


「ああ」

ナオのワイングラスに、
触れようとグラスを傾けたけど、
ナオは、持ち上げたグラスを、
さっと引っ込めた。

そうだよね。
ビールジョッキじゃないもんね。


ナオは、私の方を向いてるけれど、
彼は、私を通り越して、
ずっと遠くを見ていた。
ぼんやりして、心はこの場所にはない
という感じだ。


「どうかした?」


面白くないのかな…
浮かない顔だね。
ナオ、私あなたの笑った顔が見たいな。


「勝手にイタリアンにしてしまったけど、
あんまり好きじゃなかった?」


「いや、そんなことないよ」


「良かった。
ここ由貴ちゃんに教えてもらったの」


「ああ、そっか…」

ナオは、そういうと、
ちらっと私の顔を見るだけで、
すぐに話を止めてしまう。