さあ、どうしようかな。


こんなの、どうでもいい相手なら、
いくらでも口から出た言葉を掛ければいい。


春には、発した言葉の先の、
俺の気持ちまで、透けて見えてしまう。

でも、こなままじゃダメなんたと、
自分にいい聞かせる。


「春は、俺に勝とうって思ってる?」


「えっ?急になによ」
わけが分からない、っていう
春の顔は面白い。


「俺に勝つか負けるかなんて、
そんなこと、どうでもいいことか?」


「なんで、ナオと勝ったり、負けたり
しなきゃいけないのよ」



「全然ない?そういうの」

並んで座っている、二人の距離を詰める。
春の体が触れるくらい近くに座る。


「うん、全然ないよ」



「どうして?」



「ナオに勝とうなんて思わないし」
俺のこと、無条件に上に見てるからな。お前。


「どうして思わないんだ?友達だし、
ライバルじゃないのか?
なのに、意識しないなんて、
おかしいだろう」




「おかしくないよ。
最初から私とナオは、全然違うんだから…
もう、いいじゃない。そんな話」


「どうして?話せよ」
春の肩に腕を回し、顔を近づける。

距離を詰めても、春は、
嫌がる様子は無い。

「違わないだろ?」