「良かったね皐月♪」 ぼそっと耳元でささやくはとりを軽く睨んでおき、ポケットから手鏡を出す。 おおお。 ほうほう! 耳より若干上の位置で結んでおり、さっぱりした感じ。 ありがとう、と言おうとしたらはとりはすでに席に戻っており、口パクで『あとはお二人さんで!』と笑っていた。 なに余計なことしちゃってるの。 なんですか、推してるんですか! 「なぁ。」 「何?」 裏返った私の声へかかる返事はない。 しばらく無言が続く。