私は中学の全てを あの小さい球、 あの小さいラケットに懸けていた。 仲間なんていなかった。 自分が引退するときには 私はひとりぼっちだった。 「佐賀は自分が好きな時に休んでいいよ」 鬼のように厳しかった顧問に そう声をかけられたとき 私は見捨てられたと思った。 仲間だと思っていた部員たちも 自分たちの試合が終わると そそくさ引退していった。 私は、ひとりぼっちだった。