奇聞録四巡目




紫鏡が目の前にある。


手鏡だが、間違いない。

二十歳までに忘れなきゃいけない言葉なのに、紫鏡が実際ここにあるのはどう言う事だ。


いや、待てよ。


私がそれは紫鏡だと認識しているだけで、本当は何でもないただの鏡なのかも知れない。


どれ、手にとって覗いてみようか・・・。


あれ、


何だこれ・・・。


なにも写らない。


あれ、入る・・・。


手が丁度入る。


あっ!なんか引っ張られる・・・。


すごく冷たい手が引っ張ってくる・・・。


うわっ、怖い・・・。怖いよ・・・。


ぎゃああっ!!




コトン。