私達は家が隣で、親同士も仲がよかった。
そんな中、5歳の時私と空は親に連れられて海に行った。
親は親同士、子は子供同士で語ったり、遊んだりした。
夕方、夕陽が見えてくる頃私と空はいつまでも砂浜で絵を書いたり山を作ったりしていた。
親は少し離れた先でお酒を飲んだりしていた。
だから、二人きりだった。
こうなる事は当たり前で、
むしろ今となっての方がそんな機会が減った。
「空、何書いてるの?」
あの頃の私は素直すぎた。
「なんもね」
「ふーん」
「なぁ果歩」
空の口調は相変わらずだったな。
「ん?」
「俺の事好き?」
「うん!すきっ」
あの頃の私は好きと言う意味がきっと、恋愛ではなかったのはわかっている。
「俺も好き、なんだけど…」
「そっか!空もか!てことは一緒だね」
「なら将来俺のお嫁さんになってくれる?」
そう空は私に言ったんだ。
よく意味もわからずに
「うんっ!なるっ」
って舞い上がっちゃって、
「なら決まり」
今思えばすごく恥ずかしい約束をしてしまった記憶がある。
あの楽しかった、海の写真を見て。
空は覚えてるかな。
ううん、覚えてるわけが無い。
記憶力があるのはサッカーに関してだけ。
言ったことを3日で忘れるような人だしバカだし。
私の可能性は段々となくなる。
私は空が好き。
空は?
なんて聞けないし、逆にいわれもしない。
そんな話にすらならない。
それはそうか。
私達は成長した。
もうあの小さかった頃と違う。
あの約束も今では果てしなく遠いもの。