そう言って尚斗は私の右手を握る。
うっ……恋人つなぎ!!
「……ら、ラブラブじゃないし!付き合ってない!!」
思いっきり大声で否定する。
学校付近だったから、同じ制服を着た人の視線が痛い……。
「うん、それでこそ麻琴ちゃんだよ」
え…………?
「いつもの調子で今日も一日頑張ろーう!」
「え、おわっ」
尚斗が急に手を振りあげるから変な声が出る。
まあでも、尚斗にまた元気もらったし、今日頑張ろう。
そう意気込んでいると、あの声が聞こえる。
「秋原くーん!!」
私と尚斗の横を風のように通りぬけ、私の好きな人を呼ぶ声。
…………………………………沙弥香…………。

