そう言って笑う尚斗を見て、少し心が落ち着いてくる。
━━━やっぱり、あの時の人なんだな……。
家まで送ってくれたあの夏も、尚斗はこんな顔で笑ってた。
「ていうか、俺一人暮らしなんだよね」
尚斗が急に話を始める。
「だからさ、たまに料理作ってくんない?俺下手でさ」
別に断る理由もないし、相談のお礼ができればいいな。
「うん、いいよ」
「よっしゃ!麻琴ちゃんの手料理だ~♪」
はしゃぐ尚斗を見て思わず笑いがこぼれる。
この人が、隣に住んでくれて良かった。
「じゃ、また明日学校で」
「おう、おやすみ!」
挨拶を交わして私はベランダを出た。

