案の定、尚斗はそこにいた。
ハニーと呼ばれて、それを否定する。
「尚斗……私はもうあの頃とは違うよ?」
「それでも、君は僕の好きな人だ」
「好きな人だって…………いる」
「関係ない。さっきも言っただろ?今の俺を好きになってもらう」
でも、私は忍くんが好きで……。
そう言おうとした時、今朝の光景が浮かぶ。
好きな人の隣にいる━━━━━沙耶香。
喧嘩して、嫌味のように私の好きな人の隣にいる、沙耶香。
なんで、どうして。
そう思えば思うほど、胸が苦しくなっていく。
胸の痛みと悲しさが混ざって複雑な感情になった。

