そう言われてはっと気づく。 私は今、確かに名前を呼ばれた。 「……なんで、私の名前を……………」 まだ教えてもいないのに。 動揺する私に、端橋尚斗は言葉を続ける。 「だから言ったじゃん。俺ら、会ってるんだよ」 そう言われても、全然記憶に残ってない。 こんなイケメン、見たら絶対頭に張り付くのに。 「………まあしょうがないか、去年の夏だし」 「え、去年の夏?」 「うん」 去年の夏……… そう言われて、思い出すことは。 私の、初恋。