だけど 数々の殺人を犯し 彼女の目の前でも殺人を犯した僕だ 好きになってはいけない 愛してもいけない 信じてもいけない …そう信じてきた僕だ 僕が常に考えるのは僕だけ 誰を殺そうか どうやったら捕まらないか そればかり考えていた 人を愛する資格なんて 僕には存在しないんだ――― 僕はゆっくり重たい上体を起こし ベッドから降りようとした 「……待って 行かないで……」 彼女に腕を引っ張られ 僕の動きは止まった