「名前 聞いても良いですか」 恥ずかしくって 俯きながら聞いてみると 彼は静かに首を横に振った 「教えられません もう2度と会うつもりはありませんから」 やっぱり彼は 哀しげに見えた 「どうすれば また会うこと出来ますか」 手放したくなかった イケメンで だけどどこか哀しげな彼を あの現場に 未来がわかるかのように立っていた彼を 優しくあたしを抱いてくれた彼を 手放したくなんてなかった 「……失礼します」 彼はやっぱり淡々と 感情のこもっていない声で言うと あたしへ踵を返した