「……いません」 淡々と言った彼だけど 眼鏡の奥の瞳が 少し哀しげに潤んだ気がした 「なら …あたしを 抱いてくれませんか」 さっきから表情を 一切変えなかった彼だけど 驚いたように目を見開いた 「突然で変なこと言っているのはわかっています だけど あたしはあなたの 温もりが欲しいんです……」 ずっとあたしは孤独だったんだ ずっと誰かに触れたかった 折角(せっかく)彼が現れたんだ 簡単にお別れなんてしたくない 温もりが欲しい 偽りでも良いから愛が欲しい