あの野次馬の中で見つけた 黒髪で眼鏡をかけた彼を 帽子を被っていて 少し寒そうに見えた 気が付けば急いで傘を持って 彼の元へ駆け寄っていた 気になったから 少しでも知りたいと思ったから そして 今に至ると言うわけです 目の前の彼は 殆(ほとん)ど何も話さないで 淹れたお茶を飲んでいる お菓子を出せないあたしが悔しい 何も話さないし 帽子を深く被っているせいで 眼鏡をかけていることぐらいしか 顔が見えない 帽子から少し出た黒髪は あたしとは違って綺麗で 柔らかそうだった