無理、負けるもんかなんて思うだけ無駄だ。



臆病な私に、勝てるわけない!



「あわわわわ、すみませんでした!!」



一刻も早くこの怖い人から離れなければ、と謝って走り出す。



その時、確かに聞こえた。



「俺の名前は“あなた”じゃなくて橋本光だっての」



橋本光。



その名前はなぜか頭にすんなりと入ってきて、名前を認識する頃に私は佐々木晴翔くんの横を走ってすぎた。