10分位たっただろうか。
神社の方から聞き覚えのある声がしてきた。
急いで道路出てその方向を確認する。
あ、やっぱり。
両手は大量の袋でふさがっているななと、巾着1つを持っている桃の姿が見えた。
「おーい、二人とも〜」
大きく手を振って呼ぶと2人はこっちを向いた。
「あ、舞花ー!」
カタカタカタと下駄を忙しく鳴らしながらななは走ってきた。
浴衣の着崩れは心配してないのかな…。
「見てみて!射的でこんなにとったんだー!」
ニヒヒ、と得意げに笑って両手を上げる。
ぶら下がっている袋にはゲーム機やその他色々…。
とんでもないスナイパーじゃん、なな。
毎年毎年射的の腕が上がるななにただただ感心するばかりだった。
「今から私の家に来ない?桃も!」
後からゆっくり歩いてきた桃にどう?と聞く。
「別に舞花のお家がいいならいいけど…」
桃はチラッとななを見る。
「あたしも。いいの?」
ななは首を傾げて目をパチパチと瞬いた。
「うん!もちろん。いこ!」
私は2人を連れて向かいの自分の家に入った。
「お邪魔しまーす」
ななはもちろん、私の家には何度も来てるのでスタスタと二階に上がっていく。
桃は初めてだからやっぱりキョロキョロしてどこか落ち着かないみたい。
そんな対照的な二人と一緒に部屋まで行く。
「っはー!やっぱり帯苦しっ!とっていいかなー?」
「ちょ、はしたないからダメ!」
ななが帯を取ろうとするのをすかさず桃が制する。
「えーん、ケチィ〜」
ななは口を尖らせてムッとした顔になった。
ななは、せい君から告白されてたんだよね…。
2人の会話を聞きながら頭では冷静にそんなことを考える。
なのに、断って私のために色々手を尽くしてくれて…。
好きなの見え見えなのにね…。
やっぱり、ななは私の幼馴染だ。
今度は私が手を尽くす番。
「二人とも!話があるから座って」
いつもとは違う私の声に、2人はピタッと動きを止めた。
真剣な私の顔を見て2人も真顔になる。
「うん。なに?」
よいしょ、と言いながらななは座って私を見上げた。