あなたが私にキスをした。


――Side トキワ


「ただいま」



日が沈みかけた頃ようやく家に帰ってきた。

いつもよりはやく仕事を切り上げて帰ってきたのは、他でもない、トーコにはやく会いたいから。



それなのに。



「・・・トーコ?」



真っ暗な部屋、明かりをつけても人の気配がない。

背筋がぞっとした。



「あの日」が脳裏に蘇る。

そうだ、あの日も突然にやってきた。

なんの前触れもなく、ある日突然、彼女は僕の元から消えてしまった。




いやだ。


いやだいやだいやだ。




もう、失いたくない・・・!!!