涙が収まってきたところで、私は日記の続きを書き始めた。

ーーーーーーーーー

将来の夢は…作曲家!
私の作った曲で、誰かが笑顔に…幸せになってほしいなって。
まぁ…叶えられないけど、一応夢は夢だから!
今日は、朝起きたら記憶が無くなっていました。
私の覚えている最後の記憶は、高校の入学式の日でした。
その後、パパとママは交通事故で亡くなったそうです…。
私は、陸のいる男子バレー部のマネージャーをみっちゃんと始めました。
そして、7月。私は…病気になった。
記憶がないからよく分からないけど…かなり重い病気で、治すことが出来ない病気らしい。
でも頑張って、病気の進行を遅める薬を使いながら、余命1ヶ月だった病気が、もう1年も経った。


日記を書き続けていると、だんだん眠くなって来たのでケータイのアラームをつけて少し寝ることにした。





…この感覚、知ってる。





前にも来たことがある気がする。





そう。あの時…。





記憶を…無くした日の前日。





目の前にいるのは…私…?




どうしてそんな悲しそうな顔をしてるの…?





目の前の私は、何かを伝えようと口を開けて何かを発している。




聞こえないよ……?




何を言っているのか、何も聞こえない。




すると目の前の私は、手を振って後ろを向き、この場から去ろうとした。




待って!!行かないで‼




私も声が出ない事に気付いた。




追いかけようと前に進むが、体が思うように動かない。




手には手錠。首には首輪。足には足枷。




その全てが、鎖で繋がれている。




目の前の私は、どんどん遠くなって行く。




今からでも走れば、間に合うのに。




しばらくして、私が消えた後で鎖がとれた。




…結局私は、病気に縛られているのか。




相変わらず耳に残ったのは、自分の心臓の音と、不安定な水の音だけ。