次の日、また陸がきてくれた。

ガラッ

「夏来、調子は?」

「平気だよ!」

「え…話せるようになったのか…?」

「うん!昨日、陸にもらった花を見てたら声がもどったんだ!陸のおかげだね!」

と、笑って言えるようになっただけでうれしい。

昨日うれしくなかったのはなんでだろう…?

というか…そう感じた後…私どうしたんだっけ。

…覚えてないや。

「というかお母さんは!?」

「お母さん…?お前お母さんいないって…」

「…え?」

お母さんがいない…?私に…?

確かにいるのに…いない…?そんなはずは…

「お前の両親は、1年前、入学式の数日後に交通事故で死んだだろ?」

1年前…?

「ねぇ陸…今日って…何年何月何日?」

「え、2019年、7月15日。」

嘘でしょ…?1年と3ヶ月も後…。

「今は高校に入学してすぐの四月のはずなのに…。」

なんで1年と3ヶ月もたってるの…?

私の記憶だと、今は確か…

2018年4月8日だと思うんだけど…

「お前まさか…覚えてないのか…?」

「え?何を?」

そういえば昨日より前の記憶がない。

昨日より前で覚えているのは、高校の入学式が最後…。

あれ…なんで私昨日ここにいたんだっけ。

「1年前…両親が事故で死んだ1ヵ月後。余命宣告されたんだぞ…?」

余命…宣告?なんで私が?

「お前は…夏来は、病気で余命1ヶ月って言われて…でも、バレー部のみんなに支えられて1年も生き延びたんだ…」

ああ…私、バレー部に入ったんだ。

記憶がないと、人間って自分が病気でもこんな気楽な考えができるんだ。

「でも、ついこの間、本当に余命1ヶ月だって言われたんだ。」

本当に余命1ヶ月…か。

「で、それがどのくらい前なの?」

「1週間前…。」

「へえ…ってえ!?後3週間しかないじゃん!」

3週間しか生きられないなんて…記憶も曖昧だし…どうしたらいいの?!

「ねえ陸、ちょっとお医者さん呼んで来て!外に出たいの!」