でも、あたしはずっと結香の味方を演じていたのだから、イジメを始めた時期に送って来るとは思えない。


仮にあたしがイジメの黒幕だと気がついたとしても、そんな早くから気が付いているとは思えなかった。


「深刻な顔をしてるけど、本当に大丈夫か?」


分かれ道に差し掛かり、翔真がそう聞いてくる。


このまま真っ直ぐ家に帰るみたいだ。


「大丈夫だよ。いざとなれば警察に相談するし」


「それはまだ早いと思うけど」


「え?」


あたしは翔真の言葉に首を傾げる。


《裏ギフト》は送られ続けているし、階段からも付き落とされた。


きっと警察はすぐに動いてくれるだろう。


「もう少し、せめて次の手紙が来るまでは待ってもいいと思うけど」


「そうかな……?」


「あぁ。次の手紙の指示に従ってみて、何も危害が加えられなければそれでいいし」


それでいい……?


あたしは翔真を見る。


翔真はあたしなど見えていないようで、笑顔のままあたしに背を向けたのだった。