隣で歩く結香に黒い感情を抱いたまま、あたしたちは2年A組の教室へと入って行った。


クラスに入るとすぐに数人の友人たちが「おはよう!」と、声をかけてくる。


「おはよ。つぐみ、初(ウイ)」


あたしは仲の良い2人に返事をする。


背の高い武村つぐみ(タケムラ ツグミ)と、少しぽっちゃり気味の米沢初(ヨネザワ ウイ)だ。


あたしたちはいつもこの4人で行動している。


つぐみも初も可愛らしい顔をしているが、やっぱり一番可愛いのは隣の結香だった。


永遠が結香に視線を送るのもしょうがないこと。


だけど、他の男はよくても永遠だけは許せなかった。


永遠の視線を釘づけにするのは、このあたしだ。


「あれ、侑理マスカラ変えた?」


化粧大好きな初がそう聞いてくる。


「さすが初だね、気づくの早い。昨日新作のマスカラ買ったの」