「零よ。俺は裏でコソコソと悪さをして悪党をゆすったり潰したりしている。人は俺らを社会のダニだのゴミだの言うが、俺らにも正義という名のもとに動いている。」


「正義…ですか?」


零は正義と言う言葉に少し反応する。

やっている事は悪党となんら違わないのにだ。

少なくとも零はこういう世界に身を投げたなら、死ぬまで悪党として生きるべきだと思ってた。

だから正義と言う言葉に違和感を感じた。


「そうだ、俺たちにも正義があるんだよ。俺たちは悪党…そこらにいる小悪党なんか興味がない。トンでもねぇ悪事を平気でやってのける国の癌。いわゆる巨大な悪…巨悪!それをあの手この手を使い潰す。巨悪を潰しには相当汚い事をやらなきゃ駄目だ。それでも俺たち悪党じゃないと出来ないんだ。そして巨悪を倒すには信念がどうしても必要になってくる。正義っていうのは俺たちの信念…正義の名の元に悪になって悪を討つ!」



金さんの言う通りだ。


何をするにも正しいと思うこと…正義という信念が無いと迷いが出てくるのだろう。



しばらくすると金さんは1000万円をケースの中に入れ零に渡す。


「ま、高校生がこういう話に首を突っ込むのは良くないな。人生が狂うぜ。」

金さんからの忠告なのだろうか。

しかし、零はこれがチャンスだと思った為、意を決して言う。


「金さんの仲間に入れてください!俺も巨悪を倒すのに昔から憧れていたんだ!お願いします!」


金さんは薄暗い夜の外を見て言う。

「この世界に首を突っ込んだら後戻り出来ねぇぜ?それでも良いのかい?」


「はい!お願いします!」