町に出ると零は毎日巨万の富が動く銀行へ行き、そこで金を10万ほど降ろす。


これから行く場所はそれぐらい持ってないとダメな場所だからだ。



そして目的の場所に移動するときであった。


「あ、零くん。」

すれ違った女に声をかけられ振り向いたら私服姿の飛鳥がいた。



「な、なんで飛鳥がここにいるんだ?」


零は物凄い動揺する。

何せ零がこれからやることは好意を持っている女性に知られたく無い事だからだ。


「私は5時半から塾なんだ。一時間半ほどで終わるけどね。」


今の時間は夕方5時ぐらいで終わると七時くらい。

その時、飛鳥は軽く閃く。


「零くん7時過ぎまで町にいる?」

「あ、ああ。ちょっと町を徘徊したくて町まで出てきたからな。」

明らかな嘘。完全無欠の嘘である。


「じゃあ…7時過ぎから少しお茶を一緒に出来ないかな?」

少し顔を赤くする飛鳥。

「おう!良いぜよ。俺も飛鳥ちゃんと一緒に町でデートしたかったんだ。」

俺は何を言ってんだ…。なぜか心にも思っていない言葉が口から出る。


てか「ちゃん」付けとか硬派な俺らしくないぜよ…。



零は頭が混乱している様だが飛鳥は零の言葉を聞いて嬉しいのかスゴく良い笑顔である。

「じゃあ、7時過ぎに塾が終わったらメールするねっ!」


「お、おう…」


そう言って姿を消す飛鳥。

てかヤケにテンション高いな。




零は「なんでこんな約束をしてしまったんだろう」と思いながら煙草に火を付ける。



参ったな…。7時過ぎまでどうやって時間を潰すか…。



少し歩きながら、駅前にあるうるさいお店の前に行く。



零は久しぶりに勝負しても良いかなと思いサングラスをかける。


「ここに来るのは久しぶりだな。時間はたったの一時間半。南国無双や神を喰らう機種で勝負するか?いや『綺羅星っ!』とか『修羅の力がみなぎるぜっ』もアリか?」


頭の中で二週も三周も同じことを考え零は時間を潰す為に喧騒の中へ消えて行った。