この学校の卒業生に日ノ本を裏で動かしている人物がいる。

その人物はまだ若いが恐ろしく頭が良く、人の扱いが巧く、打算的な人である。


いつの時代でも国を裏から動かす人間がいる。


ではどのようにして裏で国を動かすのか?


それは国の重要人物いわゆる大物政治家と裏でやり取りをしたり、時には弱味を握って揺すったりして国の法律を少し変えたりすることだ。


そう考えると国を裏で動かす事は政治家と仲良くして、なおかつ金が有れば簡単そうである。



「それ、漫画の読みすぎじゃないかしら?」


桜花は笑う。零の考えがとある漫画に書いてあった事と酷似している。


それにそんなことで国が動いたら、今頃日本は崩壊している。


「それと貧乏人の癖に『時代の渦になる』なんてよく言えるわね。なんかスゴく痛いわよ。」

酷い言われようである。

零は誰にも言ったことがない密かな夢を馬鹿にされたのだ。


だが、零は全くショックを受けなかった。


むしろ馬鹿にされるのが普通。



「まぁ、俺は痛い奴さ。だから昔から人と距離を置いている。アンタも…だろ?」


零には分かっていた。

初めて桜花に会った時から気付いていた。

この人は俺と同類。普通の人生じゃあ物足りない人間だと。


そして今回の部費交渉は零の能力を知るために試していたものであったと。