男の人と二人でファミレス……?
彼女が今まで一人だったのは、あの人と待ち合わせしていたせいなのだろうか。
でも健太には家の用事って……。
あ、お兄さんとか? それにしては顔が似てないけど……まあ顔の似ない兄弟なんてこの世にはごまんといる。
「……浮気現場?」
「まっさかー。いくらなんでもそれはないでしょ」
あたしは声を出して笑ったけれど、二人が席を立ったのを見て慌てて前を向ききちんと座り直した。
「――ヤバッ、こっち来るよ、見つかんないようにして!」
切羽詰まったあたしの声に、三橋くんはパッと顔をそむけ、あたしはじっと髪の毛を垂らして顔を隠す。
お願い、気付かないで。バレないで。
冷や汗がぶわっと吹き出しじっとしていれば、テーブルのすぐ横を人が横切る気配がした。
「……アハハ、山野くんって大袈裟」
「優花のせいだっつーの」
心臓が物凄い勢いで動き出す。
そっと顔を上げれば、男女二人の楽しそうな後ろ姿がレジの前に立っていた。
……腕組んでる。

