「三橋くんってば!」
焦って彼の頬を両手で包み、顔を近づけて少し強めの声を出せば、やっと三橋くんは気付いてくれたらしく、はっとして背筋が伸びる。
よ、よかった! 意識は戻ったみたいだ……!
「大丈夫? しっかりして、ここどこか分かる!?」
コクコク頷く三橋くんの手をしっかり握って、とりあえず席に戻ろう、とこっそり立ち上がった。
……大丈夫、優花ちゃんはまだ電話に夢中でこっちを見ていない。
そろそろとその場を去り、なんとかバレずに自分たちの席に戻ることができた。多分だけど。
「……は、はい、とりあえず水飲んで! 水!」
未だ呆然としたままの彼にコップを差し出せば、一気に飲み干されてしまったからポットの水をつぎ直してあげる。
それさえをも一気に喉に流し込んだ三橋くんはようやく少しだけ落ち着きを取り戻したようで、頭を抱え込みながら深い溜息を吐いた。
「……大丈夫?」
「なんとか、っす」
どう慰めてあげれば。

