……優花ちゃんの声にしては、いつもより格段に低い気がする。
やっぱり別人? 他人の空似? ドッペルゲンガー……!?
「うん、……そう。今日はファミレス。部活ないからね。……アハハ、健太くんのこと?」
“健太くん”って、言った。
心臓がどきりと動く。
だって、健太くん、って言った。
その声だけは優花ちゃんの元々のそれと同じである気がした。
「まだ別れてないよ、……ふふ、そう、……うん、うん」
何の話してるんだろう。気になるな。
ていうかこれ盗み聞き? なんだか罪悪感が湧くけど、知りたい気持ちが強く邪魔する。
聞いてはいけないことを聞こうとしてしまっている気がして、胸の奥が気持ち悪い。
「まーねー、顔は微妙だけど優しいし、……やっだー、金ヅルになんかしてないってば、……少ししかね」
キャハハと甲高い声が脳内に響いて、ハッと息をのんだ。
健太の話なのだ。これは。優花ちゃんの。

