……いやいやいやいや、まさかまさか。
だってこんなとこにいるわけがない。今日は家の用事があるって。
……ううん、家の用事でファミレスに来ることはあるかもしれないけれど、だってあの席の女は足の不自由なおばあさんにぶつかっておいて、謝りもしないような最低女だ。
優花ちゃんであるわけがない。
と、思うけど、どっからどう見ても優花ちゃんだ。
紛れもなく、健太の彼女であり、三橋くんの想い人である優花ちゃんだ。
……あれ? どういうこと?
学校で会う彼女と言えば、ふわふわしていて、誰にでも優しくて、いつも笑顔の可愛い子。
お年寄りに対して決して、『最悪、きもい』なんて暴言を吐くような子じゃなかったはずなのに。
……あたしの見間違い? 勘違い?
「……ああ、もしもし?」
呆気にとられたまま優花ちゃんを見詰めていれば、電話がかかってきたらしくスマホを耳にあてての彼女の声が聞こえてきた。

