じっと黒髪のロングヘアがシンボルの後ろ姿を見詰めて様子を観察するけれど、一人で来ているのか向かい側の席は空だ。
話しかけるなら絶好のチャンスかもしれない。
とは思うけど、うっかり人見知りが発揮されてちょっと躊躇してしまった。
だって冷静になって考えると、怖そうな女子と良い争いにでもなったら大変じゃない?
お店に迷惑がかかるのも嫌だし。
なんて思ってしまう。
……ああもう! 何やってんだしっかりしろあたし! よしっ!
意気込んで一歩を踏み出した瞬間。
不意に彼女が振り返って、その見覚えのある顔に思わず固まってしまった。
……うん? あれ?
――なんか優花ちゃんに似てない?
なんとなく思わずしゃがみ込んで別のテーブルの陰に隠れたから、きっと向こうはあたしに気付いてないけど。
そっと隙間から顔を出して彼女の方を見るけれど、やっぱり優花ちゃんのような気がしてならない。

