「席どこですか? あたしついていきます」
「あら大丈夫よ!? 気にしないで?」
慌てて言うおばあさんの腕を支えて、あたしも小さく首を振って笑いかける。
「心配なんで、送らせてください」
「……悪いわねえ、息子夫婦と来てるから心配いらないんだけど……、あそこの席よ」
おばあさんの席まで連れて行けば、息子さん夫婦にすごく感謝された。
あたしは大したことしてないのに。
ていうか、むしろもっと早くおばあさんを追いかけていれば、あの女の子にぶつかって転ばせられることもなかったのに。
あたしの方は申し訳なくてしょうがない。
ひとしきりお礼されたあとで、やっぱりこのままでは気が済まずにぶつかってきた女の子の席へと向かった。
一言二言、注意しなきゃ納得いかない。
本当はおばあさんのところへ連れて行って謝らせてやりたいけれど、あたしに言われて大人しく反省するような女じゃなさそうだ。
そんな良心のある子なら、さっきとっくに頭を下げてたはず。

