……なんか気になるなあ。
余計なお世話かもしれないけど、席まではあたしが手を引いていって上げた方がいいかもしれない。
遅ればせながらも思い立ち、急いでおばあさんを追ってトイレを出た。
その後ろ姿は簡単に見つかって、ホッと息を吐く。
放課後、学校を終えた学生が多いためか人の行き来も多いし、通路も狭いからぶつかったら大変だ。
考えて、小走りで彼女の元まで行こうとした瞬間。
「……あっ」
向こう側から来た制服姿の女の子が、おばあさんにぶつかってしまったのだ。
うわ、危な……っ!
思わず足は止まってしまい、おばあさんがその場に倒れこんで杖が転がるのを、間近で見た。
「――だっ、大丈夫ですか!?」
あたしがもっと早く気付かないから……!
慌てておばあさんのところへ走り寄ってその細い体を起こす手伝いをするけど、女子高生はこちらをちらりと一瞥しただけで、何も言わずに去ろうとする。

