初恋マネジメント




そんで、戻ったらまず、ごめんって言う。ちゃんと謝って。とりあえずお腹を満たしてから。


そのあとゆっくり考えよう。


まだ考えたくない気分だったら、そのまま何も考えない、っていう選択肢も、もしかしたらアリなのかも。




「ちょっとごめんなさいねえ……」


「え?」




なんてじっと考えていれば、急に横から声を掛けられて少しだけ驚く。


慌てて振り向けば、杖をついたおばあさんが申し訳なさそうにこちらを見上げていた。



……あ、道か! ここのトイレ狭いから、あたしが邪魔で出れないのか!




「すみません!」


「いええ、こちらこそ」




さっと道の端にそれれば、おばあさんはよろよろ危なっかしい足取りであたしの前を通過していく。


……だ、大丈夫かな。



足が悪いのか、身長が低いせいか、だいぶ心配。



その曲がった背中をハラハラ見守っていたけれど、おばあさんはあたしを振り返ることなくトイレを出て行ってしまった。