次の日の部活では、隣のコートで三橋くんが優花ちゃんに頑張って話しかけている様子が窺えた。



まだぎこちない感じはするし、優花ちゃんも何事かと戸惑っているみたいだけれど、なんとか最初の一歩は踏み出せたようであたしはホッとしている。



なんていうか、弟を見守る姉の気持ちだ。多分、そんな感じ。


あたしは下の弟妹はおらず、お兄ちゃんしかいないからほんとのところがどうかは分からないけど。



それから2週間経ったけど、三日に一回はあの公園で作戦を練っているし(でも半分は三橋くんの惚気)、彼の片想いはなんだかんだで順調なんじゃないのかなーって思う。




「……健太、元気ない?」




――反面、幼馴染への罪悪感は募るばかりだ。


お昼休み、明らかに落ち込んだ様子の健太に声をかけると、彼は驚いたように目を見開く。




「えっ、……すげー紗奈、よくわかったな!」


「……だってあんた、眉間に皺寄りっぱなしなんだもん」


「マジで!?」


「マジで」




一生懸命眉間をぐりぐり人差指で押し始める健太を見て軽く笑うけれど、上手く笑顔を作れていたかは不明。