「先生!
勇人が…勇人が屋上から飛び降りたってホントですか!?」
僕は担任の井崎先生に詰め寄って聞く。
「上屋くん…」
先生は下を向いて黙っていた。
「井崎先生、生徒は速やかに家に返さないと…!」
体育の尾形先生が井崎先生の肩を掴む。
井崎先生は、尾形先生の方を向いた。
「しかし上屋くんは彼の幼馴染です。
何か聞けるかもしれませんし…」
「そんなことは今はどうでもいいんです!
そろそろ警察が来ます。
一刻も早く生徒を家に帰すのが1番です!」
「………」
井崎先生はまた黙ってしまった。
そんな時、後ろから
「先生!」
と呼ぶ声がした。
振り返って見ると、そこには彼女が血相を変えた様子で立っていた。
「勇人が…勇人が自殺したって…。
本当なんですか?」
僕とほぼ同じことを言う彼女は、一歩づつ先生に近づいて行く。
あぁ、もう彼女の耳にも入ったのか。
先生たちはすぐ出て行きなさい!
と怒鳴ったけど、僕たちは一歩もここから動かなかった。
数分後、生徒が僕たち以外みんな帰ったと知らされるのと同時に、パトカーの音が耳に届いた。
井崎先生は僕たちを送って行くということで彼女と共に職員室から出されたけど、車の中で死んでいたのは勇人だという事を聞いた。
隣で泣きじゃくる彼女に、僕は何も言葉をかけることができなかった。
僕なんて、涙ひとつ出てこなかった。


