それからというもの、俺は順調に回復していき、度々警察の人から事情聴取をされたが、俺は顔もわからない全身真っ黒な通り魔に刺されたと言った。
彼をかばう訳じゃないが、彼の事は言えなかった。
そして再び会社に復帰すると、彼はすでに会社を辞めていた。
まぁ、そうだよな。
もう俺の顔も見たくないだろうし、警察から逃げてるかもしれないし。
どっちにしろ会社にはいられないだろう。
少しホッとしている自分がいた。
「いやー、残念だが安心してくれ。
次の新しい子が入ったんだ!」
部長が嬉しそうに言うと、後ろから若い男性がひょっこりと現れた。
「はじめまして、奈佐部正樹と申します。
゛また゛よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
・・・また?
緊張していい間違えたのか?
・・・まぁ、いいか。
誰だっていい間違いの1つや2つはある。
俺はあえて深くつっこまなかった。
紹介された新人と握手して、また俺が彼の教育担当者になってしまった。
それにしても・・・。
佐々木学。
彼は今どこで何をしているだろうか?
まだ捕まってないみたいだし、どこかで生きてるんだとは思うけど・・・。
会うことももうないだろうけど、俺は彼のことも自分の過ちも一生忘れない。
この残された命がつきるまで・・・。
それにしても新しく来た新人の彼、1度やっているかのように物覚えがいいな。
END